科学技術情報流通技術基準
学術雑誌の構成とその要素 解説
- 本基準作成の目的と経緯
- 学術雑誌は主として原著論文の発表及び記録・保存のためのツールとして,国内外を問わず,学協会,研究機関等から発行されているが,その構成は多種多様をきわめ,引用,確認,記載の際に誤りを生ずるおそれが少なくない。このような状態を改善するために,学術雑誌の構成や記載要領に関する規格が国際的に次第に整備されてきている。
- 我が国においても,かねてから学術雑誌の構成に関する基準化が叫ばれていたが,今回,その要望に応える意味から,学術雑誌の編集者が雑誌を発行する際の指針として役立たせることを目的として,本基準を作成することになった。
- 本基準は昭和58年3月に策定された基準案について見直しを行い,一部修正のうえ,昭和60年3月に基準として制定されたものである。
- 本基準の作成にあたっては,日本ドクメンテーション協会が1973年9月に作成した「学術雑誌の編集の指針(案)」,本基準第1ページ記載の国際規格及び関連規格・基準を参考とした。更に,国内で発行されている代表的な学協会誌,大学や企業の研究報告,商業誌等を分野別に抽出し,これらの逐次刊行物の表紙の形態等について調査し,本基準検討の一助とした。
- なお,用語の意味に付した英語は,参考のためであって,基準の一部とはしない。(以下の項番は,本基準の中の項番に対応する。)
- 1. 適用範囲
- 主として研究者が利用する雑誌を学術雑誌であると考え,本基準の検討を行った。
- したがって,本基準は学協会誌を中心とした自然科学系の和文誌及び欧文誌を対象として作成した。しかしながら,企業等で発行する技術ジャーナルや社会科学系の雑誌についても十分適用できるので,本基準を準用されたい。
- これらの雑誌に掲載される記事としては,原著論文の他に,短報,速報,総説等があるが,本基準ではこれらの記事もすべて対象とした。なお,本基準でいう国内で発行する学術雑誌とは印刷されたものをさす。今後,印刷によらない雑誌の形態,例えば,マイクロフィルム,フロッピーディスク等による情報の流通やエレクトロニックジャーナル等も予想されるが,本基準に取り入れるには,時期尚早と考えた。
- 3.1.1 表紙
- 各部の名称を示す。
- 3.1.1(2) 書誌票
- 書誌票は雑誌の識別を容易にするために,書誌事項を簡潔にまとめて記載したもので,記載すべき事項及び記載要領については,ISO/R30「Bibliographical strip」を参照されたい。
- 参考として,記載例を示す。ただし,枠はなくてもよい。
- 例1:
- 例2:Joho Kanri Vol.27 No.9 pp.757-846 Tokyo Dec.1984
- ISOでは,現在,書誌票とは異なった概念のBiblidがISO 9115 Documentation-Bibliographic identification(biblid)of contributions in serials and booksとして規格化されている。書誌票が.雑誌1冊単位の識別を意図しているのに対し,Biblidは,個々の論文に着目し,その論文がどの雑誌のどの位置に掲載されているかを識別しようとするものである。今後,両者の普及状況を勘案し,SISTでも検討する必要があろう。
- 3.1.1(4) 背表紙
- 背表紙に記載する事項は,縦書き,横書きのいずれによってもよいが,雑誌の上から下に向かって毎号一定の位置に記載することが望ましい。ただし,雑誌が薄く,背表紙に記載できない場合には,背に近い部分に記載する。
- 3.1.5 柱
- 柱に記載する事項が多く,1ページに書ききれない場合には,見開きにした両方のページを利用してもよい。また,論文の第1ページには,柱とは別の形で誌名,巻号数,発行年,掲載ページをまとめて記載することになっているので,柱は省略してもよい。
- 4.3 ページ
- 学術雑誌において,ページ付けが必要な部分は,論文,総説,文献案内等の記事や,発行者からの主要な連絡事項等を掲載したページであり,表紙,目次,標題紙,広告等には必要に応じて別だてのページを付与する。本基準における本文とは,前者をさしている。
- 印刷にあたって,印刷単位ごとに臨時にページを付与することがあるが,発行にあたっては,本基準4.3(1)〜(5)に従ってページを付与し,アラビア数字を用いてページを記載することになる。ページを,「原則として記載する」としたのは,論文の第1ページ等において,事情によって記載が不可能である場合を考慮したためである。
- 4.6 目次
- 目次には4.6に規定したとおり,表紙2の次のページに掲載することが最も望ましいが,学会等の事情により,表紙2と目次の間に広告等を掲載することがある。その場合,目次は本文の直前のページに掲載することが望ましい。また,広告等の掲載ページには,色紙を使用するなどして,目次ページの位置が容易に見つけられるようにすることが望ましい。
- 4.7 論文
- 本基準では原著論文を想定しているが,短報,速報,総説等の構成もこれを準用されたい。
- 4.7(3) 論文の受理又は採用年月日
- ほとんどの学協会では論文等の掲載に対して,査読(レフェリー)制度をとっている。そのため,投稿論文が,編集委員会によって受け付けられてから,実際に雑誌に掲載されるまで,数カ月かかることがある。そこで,論文の優先権を確保するという観点から,論文の受理又は採用年月日を明記することが望ましい。
- 4.7(4)〜(6) キーワード及び分類記号
- キーワード及び分類記号は情報処理を考慮にいれ,検索や索引作成の際の手掛りとして各論文に付与することが望ましい。キーワードは研究分野の専門家である著者がまず必要と考えられるものを付与し,これを編集者が手直しして,必要に応じて付加することが望ましい。分類記号は,情報処理の専門家である編集者が付与する。付与にあたっては,キーワード,分類記号ともにそれぞれの専門分野で一般に広く通用するものを使用するとともに,あらかじめ指定しておくことが望ましい。
- キーワードについては,TEST(Thesaurus of Engineering and Scientific Terms),NASAシソーラス,MeSH(Medical Subject Heading of Index Medicus),JICST科学技術用語シソーラス等のシソーラスを参考にするとよい。
- また,分類記号については,BSO(Broad System of Ordering),国際十進分類法(UDC),日本十進分類法(NDC),JICST科学技術分類表等があるので参考にするとよい。
- 4.7(8) 外国語の論文
- 外国語で書かれた論文において,標題,著者名,所属機関等の日本語標記は,できるだけ論文の第1ページに記載することが望ましいが,印刷,製本等の都合で,第1ページに記載できない場合には,号末等にその号に含まれる各論文のものを一括して記載してもよい。
- 4.8(1) 識別記号(ISSN)
- ISSNは,UNESCO支援の国際逐次刊行物データシステム(ISDS)が管理する国際標準逐次刊行物番号(International Standard Serial Numbering)で,8桁の数字で表わされる(末尾1桁は,チェック文字で,便宜上4字−4字の形にグループ化される。)。ISSNはすべての雑誌に付けるのが望ましい。我が国ではISSN日本センターである国立国会図書館資料部国内資料課で登録を受け付けている。その申請手続き等については,同課に問い合わせられたい。なお,ISSNは誌名と対応しているので,誌名を変更する場合には,新たに申請手続きが必要である。
- 4.8(2) 識別記号(CODEN)
- CODENは,米国材料試験協会(ASTM:American Society for Testing Materials)が定めた,誌名を識別するためのコードシステムであり,アルファベット5文字から成る(6文字目にチェック文字を追加してもよい。)。現在,主に米国を中心に用いられている。CODENの割り当てを含む管理は,CAS(Chemical Abstracts Service)の中に設けられたInternational CODEN Serviceが行っている。
- CODENを割り当てられた刊行物については,CAS発行のInternational CODEN DirectoryやCAS Source Index等で調べることができる。
- 4.9 著作権
- 著作物が著作権法の下で国際的に保護を受けるためには,学会を含めて発行者と著者の間で著作権の帰属を明確にしておくと同時に,雑誌に著作権の表示をしなければならない。著作権の表示法としては,万国著作権条約公認の
表示がある。この,
表示とは,発行に際し,「
の記号」,「著作権者の氏名」及び「最初に発行した年」の三つの要素を並べて記載することで,記載順序は問わないが,分りやすい箇所に記載する必要がある。万国著作権条約には78か国が加盟しており,日本もその一員である。この条約に加盟した国の間では,
表示があれば相手国のとる方式が,ベルヌ条約に基づく無方式主義であろうと,パン・アメリカン条約に基づく方式主義であろうと,国内の著作物と同じ待遇で保護を受けられる。したがって,著作権の表示として
表示をしておく必要がある。
- なお,ここでいう著作権とは,雑誌全体にかかる編集著作権のことであり,個々の論文の著作権の取り扱いについては,各学会において明確にしておく必要がある。
- 4.10 索引
- 索引は,論文や記事の主題,著者名等を見出し語として系統的に配列したものであり,利用者は見出し語を手掛りに,必要とする論文や記事に容易にアクセスすることができる。索引としては,主として次の二つがよく用いられる。
- (1)事項索引
- (2)著者名索引
- しかし,索引を掲載することにより,雑誌発行の遅延を来たし,経費の増大を招くことから,学会を含む発行者の大半は索引の掲載に難色を示す傾向にある。索引の掲載が無理な場合には,たとえば,カテゴリー別総目次のような目次と索引の両方の機能を備えたもので代用するのも一方法である。
- 5.1 投稿規定
- 投稿規定は,論文を雑誌に投稿しようとする者の手引きであるので,各学協会で規定しておくことが必要である。本基準では対象となる学問分野が広く,しかも,それぞれの分野に特有の問題も多いと考えられるので,詳細には触れず,編集者が投稿規定を作成するときに必要とする最小限の項目を掲げるにとどめた。
- 5.1.2(3) 論文の採用基準
- 投稿論文は主として,編集委員会の委嘱する査読者が査読を行い,その結果に基づいて編集委員会が審査し,採否を決定している。このような実状から,著者が審査を考慮にいれて論文を作成できるように,投稿規定の中に論文審査の有無を明示するとともに審査の基準及び方法をも明記しておく必要がある。
- (その他)
- (1)第三種郵便物の認可及び学術刊行物の指定について
- 発行している雑誌が,郵便法に定めるいくつかの条件を備えている場合には,申請により第三種郵便物の認可を受けることができる。第三種郵便物については,東京郵政局から,認可申請に必要な手続き等について解説した「第三種郵便物認可申請のご案内」が発行されているので参照されたい。上記資料の入手も含め,第三種郵便物の認可申請について更に詳しく知りたい場合には,最寄りの郵便局(配達を受け持つ郵便局等)に問い合わせられたい。
- また,第三種郵便物以外の刊行物の場合でも,同じく郵便法に定める条件を備えている場合には,学術刊行物の指定を受けることができる。学術刊行物の条件,申請手続き等については,それぞれ,郵便法第26条第1項第5号及び郵便規則第34条の5第1項を参照されたい。詳細は,郵政省郵務局企画課運用係又は最寄りの郵便局に問い合わせられたい。
- (2)雑誌の大きさ
- 本基準では,雑誌の大きさについては規定しなかったが,JIS P 0138「紙加工仕上げ寸法」で規定されている寸法のものとすることが望ましい。
- (3)記載例
- 利用者の便宜を図るため,表紙,標題紙,論文の第1ページ,柱及び奥付の様式例を付図1〜5に示した。ただし,これらの見本は,一例を示したものであり,必ずしも,全体のレイアウト及び表記法(特にローマ字表記)まで規定するものではない。
- 対応国際規格 :
- ISO 8 Documentation-Presentation of periodicals
- 関連基準・規格:
- SIST 05 雑誌名の略記
- SIST 08 学術論文の構成とその要素
- JIS P 0138 紙加工仕上げ寸法
- ISO 18 Documentation-Contents list of periodicals
- ISO 215 Documentation-Presentation of contributions to periodicals and other serials
- ISO/R 30 Bibliographical strip
- ISO 1086 Documentation-Title-leaves of a book
- ISO 3297 Documentation-International standard serial numbering(ISSN)